- 1908-1913年フランス映画
- 監督:ルイ・フイヤード
- 主演:クレマン・アベラール/ルネ・ポワイヤン/ミュジドラ
ゴーモン映画の100年。きょうはルイ・フイヤードを見てきました。
1904年になるとゴーモン社は記録でなく創作をはっきりと目指すようになりますが、その創作作品の監督はレオン・ゴーモンの秘書であったアリス・ギイが長い間やっていました。
そのアリス・ギイがベルリンに去った後、ゴーモン社の製作総監督となったのが、この人です。1873年生まれのフイヤードはフランスの片田舎に生まれ、闘牛と読書をこよなく愛し、事務員のような風情の人だったそうです。
1911年『ベベ、映画を作る』
この作品は、当時ヴァンサンヌの森が各映画会社の郊外での撮影場所でしたが、そこで泥棒等を逮捕してみると、必ずこれは映画ですという返答が返ってくる、遂にパリ市は1906年にヴァンサンヌの森での撮影を禁止したという事情を知っていればさらに楽しめるかもしれません。
ベベは映画の子役ですが映画の撮影で万引きの演技をしていたら本物の警察官に逮捕されてしまった、映画だと抗弁すると映画だと偽った犯罪が増えているという通達を見せられて警察署に連れられていくという作品です。ベベを演じる子役が本当に生き生きしていてそれがこの作品の最大の魅力になっています。マコーレ・カールキン君の大先輩といったところでしょうか。
1908年『機織娘の伝説』
フイヤードは初期においては喜劇とSFXを得意とした人ですが、これはSFXの方です。水中シーンではジョルジュ・メリエスが最初に行なった水槽のシーンをオーヴァー・ラップする技法が使われています。
1909年『春』
春のイメージを主題にした作品です。いまでいえば環境映像ですね。なーんだ、こんな昔からあったんだ。
1910年『ベベ、ゴロツキに挑む』
またしても、ベベ君登場。ベベ君の父親は警察官。ある日ゴロツキどもにこてんぱんにやられて帰ってくる。ベベ君は父親の名誉回復を誓うのだった。
ゴロツキに紛するベベ君が可愛らしく魅力的です。ベベ君のファンになってしまいました。
1913年『ブー・ド・ザン、象を盗む』
この作品も子役が魅力の作品です。象もなかなかの芸達者で、楽しませてくれます。
大きすぎるソフトを被り、ダブダブの靴を履いた浮浪者のブー・ド・ザンを見ながらアメリカのもう1人の浮浪者のことを思いました。
1911年『皇帝ヘリオガバルス』
彩色フィルムの歴史物です。この頃までのフイヤードはあらゆるジャンルで自らを鍛えていましが、そんなフイヤードの守備範囲の広さが窺われる作品です。
『腫瘍』
痛い痛いおできが足にできた紳士についての作品です。
感想なんか書かずに、笑って楽しむべき作品でしょう。
1995/11/21