2016/03/01

ジュデックス


  • 1917年フランス映画
  • 監督:ルイ・フイヤード
  • 主演:ルネ・クレステ/ジャクリーヌ・オーブリー/ミュジドラ


 東京国立フィルムセンターでの「ゴーモン映画の100年」、きょうはルイ・フイヤードの「ジュデックス」1917を見てきました。

 映画が素朴な記録から演出へと変わっていく中で、ゴーモン社の演出作品の全てを手がけていたのはアリス・ギイでした。そのアリス・ギイの後を継いだのが、ルイ・フイヤードです。

 僕が見たのはこの連続活劇の第3話、第4話、第5話です。第1話から見ていないので、登場人物間の関係が分からないところもあったのですが、楽しめました。

 主人公のジュデックスは、「赤の城」のハイテク地下室を根拠地にする、正義の味方です。彼は犬を操ります。そして悪行でお金儲けをした人間の娘を愛してしまいます。こう書いていくと、犬をコウモリに置き換えれば、まるでバットマンですね。案外このジュデックスがバットマンの原型だったりするのかもしれません。

 第3話「素晴しき猟犬」では題名のとおり犬が大活躍しますし、第4話「墓の秘密」では子供が大活躍します。これまでいくつかフイヤードの作品を見てきて、彼は子供や動物を使うのがとてもうまいなと感じましたが、そんな特性はこの連続活劇にも生きているようです。犬が悪党たちにジュデックスのメッセージを伝えるシーンが気に入りましたた。何者かが近づいてくる。洞窟の出口でピストルを構える悪党たち。ついにその者が姿を現す。犬が後ろ足で立ちながら、口に手紙を銜えている。

 あと敵役のディアナ・モンティが気に入りました。このふっくらした美貌の悪女はエネルギーの塊で見ていて楽しくなります。水車小屋に閉じ込められた時は、たちまち水着姿になり(どこで水着を用意したんだろう?)、ざんぶりと川に飛び込み見事なクロールで逃げ去るのでした。

 それから私立探偵コカンタンも。この役は「吸血ギャング団」ではマザメット役を演じていた人が演じています。なんか立っているだけで可笑しい人です。僕は彼のファンです。

1995/12/06