- 1994年フィンランド映画
- 監督:アキ・カウリスマキ
- 主演: Kati Outing, Matti Pellonpää, Kirsi Tykkyläinen
フィンランドの映画監督、アキ・カウリスマキの作品です。お兄さんの、ミカ・カウリスマキも映画監督で、3年前に、「アマゾン」という骨っぽい素敵な作品を見せてくれましたが、その後、新作は、日本では、公開されそうにありません。残念なことです。
さて、この映画のキャッチ・コピーは、「天使が通り過ぎると、恋が芽生える」。この映画には、思わず微笑んでしまうような、優しく、可愛らしい恋があります。僕も、微笑んでしまいました。
でも、僕にとって、印象的だったのは、火を囲んでの、男たちの会話でした。「世の中は、厳しい。ロックン・ローラーは、早死にする」。ホテルの台帳を書くのに、老眼鏡を必要とするロックン・ローラーは、うなだれます。しかし、このロッカーは、本物です。一旦、人を恋したら、故国も、仕事も全て捨てて、恋人と、生きることを選びます。対照的なのは、もう1人の男です。母親に、家に背を向けて旅だったこの男も、恋人に巡り合いますが、結局、家へ、母親のもとに戻ります。
真実へまっしぐらに走る男と、自分の真実を諦め、最後に家を選ぶ男。60年代を背景にした、これらの対照的な生き方には、どこか哀しい共感を呼ぶものがあります。
1995/03/03