2016/02/26

パリのランデブー


  • 1995年フランス映画
  • 監督:エリック・ロメール
  • 撮影:Diane Baratier
  • 主演:クララ・ベラール/オーロール・ローシェル/ベネディクト・ロワイアン


 見るのをとても楽しみにしていたエリック・ロメールの「パリのランデブー」を見てきました。

 全部で3話から成っていて、直訳すると第1話は「7時の待ち合わせ」第2話は「パリの坂道」第3話は「女性と子供1907年」となります(違うかもしれない。僕のフランス語はかなり怪しい)。最後の題名はピカソの絵の題名ですね。

 第3話での美術館での撮影では、カメラが目立たないようにカメラマンは車椅子に座り、その車椅子をロメールが押して撮影したそうです。感心するのはカメラが街の中に溶け込んでいることでした。カメラが極力目立たないようにいろいろ工夫したんだろうな。

 その結果、観光用のパンフレットの中のパリでなく、生きて息づいているパリが見事に捉えられていました。

 僕はやっぱり色が印象に残りました。第1話に登場する女の子は最初赤のカーディガンに赤の靴というスタイルで登場します。彼女の部屋のベットの上の壁に飾られている絵は赤がポイントになっていました。ベットに置いてある枕も赤色です。彼女が台所の横のドアを開けると当然のように赤色が登場します。

 この赤は第3話の青と響き合います。画家である青年のアトリエは青を基調にした絵で埋めらています。青年自身もブルージーンズにブルーのTシャツというスタイルです。そして青年はワンピースの上に赤のカーディガンを引っ掛けた女性に出会うのです。
 この2人の出会いには赤と青とを見事に調和させたピカソの作品が重要な役割を果たします。最後に青年は自分の作品の中の女性のスカートを赤く塗ることによって、青を基調にした自分の作品に赤を導き入れるのでした。

 第2話の男女は黒を基調にしたスタイルですが、マフラーに赤を使って第1話と第3話を結び付けていました。

 赤ってロメール監督にとって大切なものなんだろうな。

 赤は情熱。赤はロメール監督にとって生そのものの象徴かもしれない。そんなことも思ったのでした。

1995/12/07