2016/02/17

プレストン・スタージェスのフィルモグラフィー

 プレストン・スタージェスについては、よくスクリューボール・コメディとかスピード感とかいう言葉が使われるが、なによりも極上のコメディ。一度味わえばたちまち幸福感に包まれ、他のたいていの料理(コメディ)は色褪せてしまう。
 とりわけセリフが魅力的。大仰でなくごく平易な言葉を使った、とても自然な会話なのに、惹き込まれる。

 ということで、豊穣なスタージェスの世界への案内板です。


Filmographie

No.題名紹介
1 1940 偉大なるマッギンティ 監督デビュー作。脚本でオスカーを獲得。浮浪者が州知事になるという話。
2 1940 七月のクリスマス 若いカップルの一日を描く小品。
3 1941 レディ・イヴ スタージェスの代表作。女詐欺師と世間知らずのお坊ちゃん。バーバラ・スタンウィックの演技が見事。ヘンリー・フォンダは受けに徹して、彼女の演技を際立たせる。
4 1942 サリヴァンの旅 映画監督が主人公。フェデリコ・フェリーニ『8 1/2』の先駆的作品。ルビッチ映画に出演することを夢見る売れない女優を演じるヴェロニカ・レイクの出世作でもある。
5 1942 パーム・ビーチ・ストーリー 最高に過激なスクリューボール・コメディ。脱線の仕方も半端でなく、あっ!?と驚く結末を迎える。クローデット・コルベールが実にチャーミング。
6 1944 モーガンズ・クリークの奇跡 スタージェス・コメディの頂点と言われる。実際アメリカでの評価も高い。田舎町の妊娠騒動を描く。撮影は1942年から1943年初め。
7 1944 凱旋の英雄 シニカルな作品。戦闘には参加しなかった兵士が、故郷で英雄として祭り上げられる。
8 1944 崇高なとき パラマウント時代最期の作品。エーテル麻酔の先駆者、ウィリアム・T・G・モートンの伝記作品。1942年に撮影。
9 1947 ハロルド・ディドルボックの罪 サイレント期の代表的コメディアン、ハロルド・ロイドを迎えた作品。ロイドの最も成功した作品の一つ、『ロイドの人気者』の続編。
10 1948 殺人幻想曲 ブラック・コメディ。指揮者である夫が妻の殺害を企てるが・・・というストーリー。
11 1949 バシュフル盆地のブロンド美人 唯一のカラー作品。西部劇コメディ。主役は当時の人気スター、ベティ・グレイブル。
12 1950 Mad Wednesday 『ハロルド・ディドルボックの罪』の再編集版。ハワード・ヒューズが編集。
13 1957 トンプソン少佐の手帳 スタージェスの遺作。フランスに移住したスタージェスが当地で撮った作品。フランスのベストセラー小説の映画化。興行的には前年公開されたフランスで成功したが、アメリカでは失敗。
※参考: プログラム『プレストン・スタージェス祭』

こうしてまとめてみると、改めてスタージェスの才能が1941-1942に突如頂点に達し、その短い間に光り輝いたのが分かりました。
短い間でしたが、その光は真夏の太陽のように力強い、そう感じます。