- 1942年アメリカ映画 12/4NFC
- 監督:ハワード・ホークス 脚本:ビリー・ワイルダー
- 撮影:グレッグ・トーランド 音楽:アルフレッド・ニューマン
- 出演:ゲーリー・クーパー/バーバラ・スタンウィック/オスカー・ホモルカ
ニューヨークという名の「森」で起こる『白雪姫と七人の小人』という名のファンタジー。
一番好きなシーンは、白雪姫である踊り子が「もっと光が必要だわ」と言って天窓のカーテンを開くところかな。
暗い書斎に光が入り込み、踊り子は七人の小人である世間知らずの老教授たちにダンスのステップを教える。幸福に満ちた時間が流れる。
光は『教授と美女』のキーになるものかもしれない。踊り子が窓ガラス越しの陽光を背後にして立つ時、王子である中年の教授は恋心を燃やす。そして中年の教授は明かりが消され、窓から光が差し込み闇の黒の美しさを際立たせている夜のバンガローの部屋の中で、「9」が「6」に変わったアクシデントから、図らずも恋人にストレートな恋心を告白する。
一度は終わったかに見えた恋を成就させるのも、光だ。天窓から差し込む陽光は恋を終わらせてしまう危機的状況を切り開く。
フランスを代表するような文学者がマルセル・プルーストを光と風の作家だと評していたが、ハワード・ホークスもまた光と風の作家なのかもしれない。
僕はフィルム・センターの椅子に座りながら、笑いに身を任せるよりも、ハワード・ホークスの映画の中にある光に強く心を動かされ続けていた。
1999/12/04