2016/02/27

もず


  • 1961年文芸プロ=にんじんくらぶ
  • 監督:渋谷實
  • 主演:淡島千景/有馬稲子/桜むつこ


 久しぶりの青空が広がった、きょう、東京国立近代美術館フィルムセンターに、「もず」を見に行きました。

 初めて行く、フィルムセンター。
 地図を見て、銀座テアトル西友の近くだったので、すぐにわかりました。受付は、正面から入って、左側です。500円玉で観覧券を買って、お釣りが、110円でした。感激しました。
 道路に面した、階段を昇って2Fへ。そこが、「もず」が上映される大ホールです。ロードショー館よりも、素晴らしいホール。ここで、日本の古い映画が、見られるなんて、夢のようです。
 なにより感激したのは、上映中は、場内が、真っ暗になったことです。ジョージ・ルーカスは、日本の映画館で、自分の作品を見て、場内の明るさに、驚き、怒ったそうですが、それは、僕もいつも、感じていることでした。

 この作品は、題名を見て、よさそうな作品だなあと思って、選んだ作品です。

 タイトル・ロールでびっくりしました。淡島千景、有馬稲子、乙羽信子、桜むつこ、山田五十鈴、高橋とよ、清川虹子。思わず圧倒されそうになる、ラインナップ。

 山田五十鈴は、やっぱり、凄い。他の女優とは、格が違うことが、立っているだけで、伝わってきます。高橋とよが、光っていました。というか、場内の笑いをとっていました。この人も亡くなったのでしたね。惜しい人だなあと改めて思いました。清川虹子の白い水着姿には、しばらく呆然としました。

 内容は、当時の松竹が、得意としていた、ホームドラマです。母娘の関係が、辛辣に、ユーモラスに、あけすけに、しみじみと描かれます。母親役の、淡島千景は、渾身の演技を見せてくれます。娘役の、有馬稲子は、研究熱心なことで知られていますが、じっくり自分の役を考えたうえでの、演技をしていました。好演です。その2人を取り巻く、脇役たちも、しっかりした演技を見せてくれます。出演者たちの、気合いが、伝わってきて、とても気持のいい映画でした。

 顔を会わせれれば、喧嘩ばかりしている母娘ですが、傍から見ると、そんな2人は、驚くほどよく似ていて、微笑ましくなりました。

1995/05/18