2016/02/13

ジャン・ルノワールのフィルモグラフィー



Filmographie

No.題名紹介
1 1924 水の娘 ジャン・ルノワールのデビュー作。ロケ地はフォンテーヌブローの森。光と風が画面いっぱいを占める。
2 1926 女優ナナ ゾラの小説が原作。リアリズムをめざしている。
3 1926 チャールストン 監督エド・ウッドあるいはジョージ・ロメロあるいはウィリアム・キャッスルとクレジットされるのが相応しいようなB級映画の香りが誇り高く香ってくる映画。
4 1927 マッチ売りの少女 白バラの花びらはそのまま雪となり路上に冷たく横たわる少女の身体に落ちる。
5 1927 マルキッタ フィルムが現存していない。
6 1928 のらくら兵 喜劇。チャップリンの影響がはっきりとある。
7 1928 騎馬試合 悪の主人公が人を殺して血塗られた剣を愛人の豊かな黒髪で拭うシーンが心に残る。
8 1929 荒れ地 落馬した女性が涎を流しながら身体を痙攣させて死んでいくシーンはルノワールにとって死が重要なテーマだったことを示す。
9 1931 坊やに下剤を 「坊やに下剤を」の映画空間は演劇的空間である。クロース・アップやミディアム・ショット、そして移動ショットも使用されるが、基本的には固定のフル・ショットである。当然出演している俳優たちも顔の表情や目の動きで演技するということはほとんどない。俳優たちは誇張された身振りで演技する。
10 1931 牝犬 中年男が娼婦との恋に陥るシーンは素晴らしい。夜の広場の階段を降りる娼婦。それを見つめる中年男。黒が支配する画面の中で撮影のテオドール・スパイクルは階段の欄干の上部を光らせた。
11 1932 十字路の夜 ゴダールがフランスで唯一のフィルム・ノワールだと述べている。
12 1932 素晴らしき放浪者 放浪者は財産を手に入れ若く美しい妻も手に入れた瞬間、川を流れる花に誘われるようにして再び放浪へと戻る。放浪へと戻ったとき初めて放浪者は生き生きと輝く。
13 1932 ショタール商会 カメラは空飛ぶ絨毯に乗って舞い上がっている。
14 1933 ボヴァリー夫人 フロベールの小説の忠実な映画化作品。
15 1934 トニ 南仏の労働者を主人公にしたイタリアのネオ・リアリズムの先駆。
16 1935 ランジュ氏の犯罪 トリュフォーが純粋の真実と美が最も多く詰め込まれた映画と絶賛。
17 1936 人生はわれらのもの スチール写真によるモンタージュでは両足をやられ道路に倒れながらも誇り高く上半身を起こす青年、顔から血を流す紳士等の写真を組合わせて当時の緊迫した時代の空気を見事に表現している。
18 1936 どん底 対比がこの映画の重要な方法になっている。男爵と泥棒。上流階級と下層民。純情と退廃。陽光と夜の闇。留まる者と出ていく者。絶望と希望。 そして映画は暗闇へとは進まず、光へと進む。
19 1936 ピクニック モーパッサンの小説を基にした詩情溢れる映画。
20 1937 大いなる幻影 兵隊たちの美しき物語。
21 1937 ラ・マルセイエーズ 自由讃歌の映画「ラ・マルセイエーズ」の製作資金は前売り券を売って集められた。
22 1938 獣人 ゾラの小説が原作。狂気の愛が描かれる。
23 1939 ゲームの規則 恋とは幻想の交換であり皮膚の接触であると気取っていた人たちもエロスに引き摺られ暴力へ死へと向かう。
24 1941 スワンプ・ウォーター 「田舎の小さな町」「耐える主人公」「最後の勝利」とアメリカの映画監督D・W・グリフィスがこよなく愛したテーマが主旋律となっている。
25 1943 この土地は私のもの 反ナチ映画。あのチャールズ・ロートンが主人公を演じる。
26 1944 フランスへの挨拶 米国戦争情報局製作。
27 1945 南部の人 「南部の人」には僕の愛するルノワールの全てがある。
28 1946 小間使の日記 無音の空間で群衆の海が真っ二つに割れ、暗い情熱に生きた青年の刺殺死体が現れるところは圧巻。
29 1946 浜辺の女 悪夢のような三角関係を描いたルノワールハリウッド最後の映画。
30 1950 深い精神性に満ちた映画。
31 1952 黄金の馬車 誰もいない舞台に立つカミーラは芸術家としてのルノワールの自我像。
32 1954 フレンチ・カンカン ムーラン・ルージュの誕生物語。
33 1956 恋多き女 イングリット・バーグマンが主演。
34 1959 草の上の昼食 自然愛の讃歌。
35 1962 捕えられた伍長 明快で自由奔放なタッチがヌーヴェル・ヴァーグを思わせる。
36 1969 ジャン・ルノワールの小劇場 死とエロスというルノワールの重要な主題が浮かび上がりながらも、最後は光の中で全てが肯定される。
※参考: NFCチラシ『ジャン・ルノワール、映画のすべて』