- 1994年フランス映画
- 監督:ジャン=リュック・ゴダール
- 主演:ジェラール・ドパルデュー
銀座テアトル西友で、ジャン=リュック・ゴダールの「ゴダールの決別」を見てきました。
ギリシャ神話を基にしているようですが、ここで語られている神は、明らかに唯一神で、あの人間くさい神々とどう結びつくのか最後まで理解できませんでした。
しかし、この映画では、ストーリーは重要ではありません。ストーリーは単に各シーンを結び付けるものとしてのみ役に立っているに過ぎません。
改めて、ゴダールは見ることに淫しているなあと感じました。イメージは豊かで、様々なものを喚起させます。
まず静止した人物が示され、それから人物が動き出すシーンが、幾つもありましたが、演劇的な印象を与えていました。
画面の奥に正面を向いた人物。手前に横顔を見せた人物。そんな明示的な構図もところどころで見られました。これも演劇的な印象を与えていました。
一番印象的だったのは、湖畔のシーンで、人物が右手奥から左手前に動いて画面から消えるとそのラインを辿って白い客船が手前に動いてくるシーンでした。
全体的に、ギリシャ演劇を見るような印象を受けました。
エロチックなシーンもいくつかさし挟まれていましたが、これは必要なかったのではないかと思います。
強いてこじつければ、本来精神的な存在であるべき神が人間の肉体に執着することを象徴しているとなるのでしょうが、これは違うと思います。
最後に、原題は「Helas pour moi」で英語に翻訳すると「Grief for me」かな。だから、なんと悲しいことよと訳してありましたが、おお、我が悲しみよのほうが原題のニュアンスに近いと思います。
1994/09/09