- 1993年ポルトガル映画
- 監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
- 主演:レオノール・シルヴェイラ/セシル・サンス・デ・アルバ
軽い気持で見に行ったら、3時間9分の作品でした。
いまから見に行かれる方は、体調を充分に整えてから見に行きましょう。
監督のマノエル・デ・オリヴェイラは、ポルトガルの人です。その首都リスボンでゴダールは新作を撮影中とのことですが、ゴダールはこの映画を見て感激して、オリヴェイラに対談を申し込んだそうです。
美しく端正で隅々まで計算された映像が印象的です。実際オリヴェイラ監督は、例えば髪の毛のほつれが少しでも違っていると、激怒するそうです。古典主義的映像と言えばいいのでしょうか。
そして、もう一つ印象的なのは、みすみずしい官能性。主人公のエマが、赤いバラの花の中に指を入れてかき回すシーンは、最近見た映画の中では、一番エロチックでした。
映画全体の印象は、木立に囲まれた静かな図書館で小説を読んでいるそんな印象でした。媚びることなく格調高く映画は進行します。映像は勿論時間の流れも厳密に計算されています。
そんな厳密性が孕んでいるむせ返るような官能性。これがこの映画の本質なのでしょう。
強い生命力を持つエマが、最後に得たものは、生の至純の喜びだ。そう思いました。
1994/11/01