- 1946年アメリカ映画
- 監督:アルフレッド・ヒッチコック
- 撮影:Ted Tetzlaff
- 主演:ケイリー・グラント/イングリッド・バーグマン/クロード・レインズ
この1946年の作品はヒッチコックの作品の中でも人気の高い作品でアメリカでは投票で決めると必ずトップテンの3位か4位以内に入る作品で、しばしばトップになるそうです。
フランソワ・トリュフォーもヒッチコックの意図が見事に実現された作品だと絶賛しています。
出演者等について紹介しましょう。
ケイリー・グラント。母親が精神を失調したために9歳から20歳の間母親に一度も会っていません。
イングリット・バーグマン。2歳の時に母親を亡くし、12歳の時に父親を亡くしています。
そんなことを知って愛が憎しみに変わっているこの作品を見るとまた違った味わいがあると思います。
バーグマンの娘イザベラ・ロッセリーニは最近ではケビン・コスナー主演の「ワイアットアープ」に出演していましたね。
リオの富豪を演じるクロード・レインズ( Rains)。この人は「アラビアのロレンス」での演技がみなさんの印象に残っているのではないでしょうか。この作品では助演男優賞でオスカー候補になっています。
脚本がベン・ヘクト。「ローマの休日」の脚本にもノークレジットですが参加しています。レインズと同じくオスカー候補になっています。
制作は「レベッカ」と同じデビッド・O・セルジニックで主演女優にはヴィヴィアン・リーを強く押したようです。リーならこの役柄にぴったりですね。この作品の男女の関係はスカーレット・オハラとレット・バトラーとの関係を思わせるものもあることですし。
報道カメラマンのカメラの上に置かれた手のクローズアップ。少し開いたドア。その隙間から映しだされる裁判の様子。背中を見せる被告。刑の宣告。明るい色のジャケットを着た美女の横顔。2人の男。あの女をつけろ。
冒頭からヒッチコック一流のシーンが続きます。
パーティーでのクレーン・ショットはことに有名なようです。
地下室での「敵を欺くための」キスが印象的でした。デブリンにもはや憎しみの言葉しか与えないアリシアが思わず恍惚となってしまうところは胸が切なくなりました。
1996/03/26