2016/02/27

緋牡丹賭博・花札勝負


  • 1969年東映京都
  • 監督:加藤泰
  • 主演:藤純子/高倉健/嵐寛寿朗


 いま渋谷ユーロスペース1で加藤泰の特集をやっています。
 僕は、この映画を見てきました。

 上映前に加藤監督の助監督をやっていらっしゃった人の挨拶がありました。
 パンフレットに「女と男、情感の美学」と書いてあるけれど、そんな先入観で見るのではなく、自分なりの男と女についての感じを大切にして見て欲しい。それで加藤泰の映画を判断して欲しい。そんな言葉が印象に残りました。

 名場面と言われている傘を渡すときに初対面の藤純子と高倉健の手が軽く触れ合うシーンは、やはり名場面でした。手と手の間に火花が飛び散るのが見えたような気がしました。まさに'To see you is to love you.'。
 2人に間には愛の言葉は、交わされませんが、激しい感情が、流れるのが感じられます。「お竜さん、あっしから離れちゃいけませんぜ。」殴り込みのときの高倉健の言葉は、どんな愛の言葉よりも美しく響きます。
 手の温もりだけを思い出に、雪の中を去る高倉健。そして、感情を見事に押さえて見送る藤純子。
 僕は、美しいなと思いました。

 そして、藤純子の生き様。ほんとうに100%純粋な生き方。こんな生き方をしていたら、1日生きるのも難しいだろうなという生き方です。どうしてこんな生き方ができるのだろうと思っていたら、清川虹子や若山富三郎が登場してきて理解できました。藤純子を理解し、おおらかな頼もしい愛で彼女を包む2人の存在。彼らがいるから藤純子は純粋な生き方ができるのだなあと納得しました。

 美しいものを見た。これが僕の感想です。

1994/10/24