- 1988年ポーランドTVドラマ
- 監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
- 主演(第1話):Henryk Baranowski, Wojciech Klata, Maja Komorowska
- 主演(第2話):Krystyna Janda, Aleksander Bardini, Olgierd Łukaszewicz
'Decalogue'を辞書で引くと、'the Ten Commandments'と書いてありました。'Commandment'をさらに引くと、'any of the ten laws given by God to Moses'とありました。だからデカローグはモーゼの十戒のことです。
クシシュトフ・キェシロフスキ監督の「デカローグ」は全部で10本の作品から構成されます。今日は第1話と第2話と観てきました。第1話「ある運命に関する物語」について書いてみたいと思います。
第1話『ある運命に関する物語』
半分凍り付いたモノトーンの川の映像から始まり、子供を映しだす白黒のテレビの光を反射させたブラウン管の映像で終わります。終始テンションの高い映像が続き、作品に緊張感のある美しさを与えていました。キェシロフスキは映像美の人だなあと改めて思いました。印象的に使われたのはブルーでした。ブルーは凍った血の象徴だと感じました。雪に身体を覆われて冷えた犬の死体は、最後の凍り付いた小さな命の予告であり、またすべての命が持っている運命の象徴でもあるでしょう。無神論者である少年の父親は、その運命を前にしてブルーの光を受けた教会に入り、聖壇を壊すのでした。聖母マリアの絵は血の涙を流します。この世のものは測れる、すなわち数字で表現できることに気付いたときから合理主義者になり神を信じなくなった父親は、最後に苛酷な運命の中で神を見るのでしょうか。
アパートを真下から捉えたダイナミックな映像はアパートの窓の外に止まった鳩の映像に変わり、窓の中の少年の映像になります。鳩を見つめる少年はいかにも優しく繊細です。少年はコンピュータが得意で、かわいい女の子にはやあと声をかけ、雪に埋もれた冷えた犬の死骸は優しく撫でます。少年は繊細に生き生きと世界と関わっています。この作品のクライマックスはそんな少年と科学的思考をして神を信じない父親との死を巡っての会話でしょう。父親はあくまでも即物的に死について語りますが、最後に少年は死んだ犬のことを語り、あの犬は死んで幸せだったんだよねと言うのです。
第2話『ある選択に関する物語』
1996/01/20
クシシュトフ・キェシロフスキ監督の「デカローグ」は全部で10本の作品から構成されます。今日は第1話と第2話と観てきました。第1話「ある運命に関する物語」について書いてみたいと思います。
第1話『ある運命に関する物語』
半分凍り付いたモノトーンの川の映像から始まり、子供を映しだす白黒のテレビの光を反射させたブラウン管の映像で終わります。終始テンションの高い映像が続き、作品に緊張感のある美しさを与えていました。キェシロフスキは映像美の人だなあと改めて思いました。印象的に使われたのはブルーでした。ブルーは凍った血の象徴だと感じました。雪に身体を覆われて冷えた犬の死体は、最後の凍り付いた小さな命の予告であり、またすべての命が持っている運命の象徴でもあるでしょう。無神論者である少年の父親は、その運命を前にしてブルーの光を受けた教会に入り、聖壇を壊すのでした。聖母マリアの絵は血の涙を流します。この世のものは測れる、すなわち数字で表現できることに気付いたときから合理主義者になり神を信じなくなった父親は、最後に苛酷な運命の中で神を見るのでしょうか。
アパートを真下から捉えたダイナミックな映像はアパートの窓の外に止まった鳩の映像に変わり、窓の中の少年の映像になります。鳩を見つめる少年はいかにも優しく繊細です。少年はコンピュータが得意で、かわいい女の子にはやあと声をかけ、雪に埋もれた冷えた犬の死骸は優しく撫でます。少年は繊細に生き生きと世界と関わっています。この作品のクライマックスはそんな少年と科学的思考をして神を信じない父親との死を巡っての会話でしょう。父親はあくまでも即物的に死について語りますが、最後に少年は死んだ犬のことを語り、あの犬は死んで幸せだったんだよねと言うのです。
第2話『ある選択に関する物語』
1996/01/20