- 1975年ギリシャ映画
- 監督:テオ・アンゲロプロス
- 主演:エヴァ・コタマニドゥ
東京国立フィルムセンター。
テオ・アンゲロプロスのこの作品はぜひ見ておきたい作品だったので、見てきました。しかし、4時間近くの作品だったんですね。体力のあまりない僕は、途中で熱が出てしまいました。
旅芸人一行を通して描かれる、現代ギリシャ史です。極端に抑制された語り口で語られます。カメラの動きも、非常にゆっくりしたものです。映像の美しさは、これまで見たどの映画にも優っていました。色彩の配分や、全体の構図が充分に考え抜かれた映像で、まるで絵画を見るようでした。色彩では、例えば、3人の男達が並んで歩いているシーンで、両サイドの男達が、暗い色のコートを着て、真中の男が明るい色のコートを着ていたことが指摘できます。構図では、例えば、解放軍と政府軍との休戦条約締結のシーンでの奥行きを深く取った構図を挙げることができるでしょう。
ヨーロッパの街は石でできているんだなあと改めて思いました。映画全体の基調をなしているのは、地中海のイメージですが、その海の柔らかいイメージと、石の硬いイメージが、独特のハーモニーを聴かせてくれました。
歌いながら道を歩く旅芸人達を見て、ホウ・シャオシェン監督の「好男好女」の最初と最後のシーンは、この作品に対するオマージュではなかったかと思いました。
1995/10/07