- 1988年ポーランドTVドラマ
- 監督:クシシュトフ・キェシロフスキイ
- 主演(第9話):Ewa Błaszczyk, Piotr Machalica, Jan Jankowski
- 主演(第10話):Jerzy Stuhr, Zbigniew Zamachowski
第9話『ある孤独に関する物語』
ブルーが印象的な作品。アパートのロビーから捉えられたブルーの光に包まれた空間を雨が降り続ける。その雨の中に立ち尽くすロメク。カメラの焦点がロビーの外からロビーのガラス戸に移るとロメクの妻の影が浮かび上がる。
ロメクが妻の電話を盗聴するために電話に付ける青いコンデンサー。
妻が密会に使っているアパートの合鍵を作る金属工作機の暗く青い輝き。
妻の不貞を知ったロメクと妻が、浴室の鏡に映っている。妻のブルーの夜着。壁にかかった青いバスタオル。
ロメクの女性患者の美しく悲しい歌声。ブルーは悲しみの色。地面にひしゃげて横たわる青い自転車。車輪が少し回転してから止まる。
第10話『ある希望に関する物語』
2人の兄弟は父親の情熱を理解できなかった。その父親の死をきっかけにして、2人は父親の情熱を理解し、父親の情熱を受け継ぐ。
2人がテーブルに並べるそれぞれが郵便局で買った記念切手。それらの切手は魂が親から子へと受け継がれ、そのことによって永遠性を得ていることを象徴しているかのようだった。
第10話ではあの男は登場しない。それは第10話が外面的には悲劇であるけれど内面的には救いだからだろう。父親は2人の息子たちの魂の中で甦っている。あの男の悲しい視線はもはや必要でない。
1996/02/17