- 1988年ポーランドTVドラマ
- 監督:クシシュトフ・キェシロフスキ
- 主演(第7話):Anna Polony, Maja Barełkowska, Katarzyna Piwowarczyk
- 主演(第8話):Teresa Marczewska, Maria Kościałkowska
第7話『ある告白に関する物語』
エヴァの最後の言葉。「マイカ、私の娘」。その言葉にこの作品の全てがあると感じました。
エヴァは教育者。当然娘のマイカにも高い要求を要求し、厳しく接する。マイカは優しさを求めながらも、なんとかエヴァの期待に応えようとする。しかしある出来事によって2人の関係は決定的に壊れてしまう。エヴァはマイカの生んだ娘に愛を注ぐ。エヴァは娘を残しマイカがいなくなってしまうことさえ望む。マイカは娘をエヴァから奪い返そうとする。
そして最後の場面。マイカの娘を抱き上げ嬉しそうに笑うエヴァ。マイカとエヴァの視線が会う。エヴァの顔から笑いが消える。マイカはエヴァの愛情を二度と取り戻せないことを悟り、汽車に飛び乗る。永遠に去っていくマイカを見ながら、心の底ではマイカを愛している自分に気付くエヴァ。「マイカ、私の娘」。マイカの娘を下に下ろし呆然と駅のプラット・ホームに立ち尽くすエヴァ。走り去る汽車。
母娘の切なく苦い愛情が心に残ります。
第8話『ある過去に関する物語』
感想ではなく、心の中に沈んでいったイメージを書いてみたいと思います。
ワルシャワの凍るように冷えた夜。雪が音もなく降っている。
ナチの兵士たちに外に連れだされるユダヤ人の子供。子供は頭を壁にぶつけられる。飛び散る脳漿。子供を匿った家族は壁の前に並ばされる。銃を構える兵士たち。銃声。兵士たちは見せしめのために死体をそのままに残す。
雪は降り続け、死体をすっかり覆ってしまう。白の世界が残る。
1996/02/13