- 1924年フランス映画
- 監督:ジャン・ルノワール 脚本:ピエール・レストランゲス
- 撮影:ジャン・バシュレ
- 主演:カトリーヌ・ヘスリング/ピエール・フィリップ
ジャン・ルノワールのデビュー作。
ロケ地はフォンテーヌブローの森。光と風が画面いっぱいを占めます。
父親のモデルだったデデと恋に落ちたルノワールは彼女と結婚します。二人とも映画狂。この結婚はルノワールを映画に引き込みます。
そしてルノワールは妻のデデを主役にして映画を撮ります。それがこの映画です。デデの芸名がカトリーヌ・ヘスリング("Catherine Hessling")なのです。
ルノワールがこの映画を撮った目的ははっきりしていて「妻をスターにしてやりたい」ということでした。
そんな話はロベルト・ロッセリーニ監督と別れ経済的にも苦しく舗道にしゃがみこんで泣きだしてしまったイングリット・バーグマンを励まし勇気づけるために彼女を主演に「恋多き女」1956をルノワールが撮ったという話を思い出させます。
そしてこのルノワール特集の舞台挨拶でフランソワーズ・アルヌールがルノワールにとって女性はとても大切な存在でしたと語っていたことも僕は思い出しました。
「好きな女優のクロース・アップが出てくるなら、私はどんなに退屈な映画でも我慢することができる」
これはルノワール自身の言葉ですが、ならばクロース・アップで捉えられたカトリーヌ・ヘスリングの顔にルノワールのデデに対する深い愛を感じるのが一番正しいこの映画の観方でしょう。
白い馬に跨がった美青年が川面に映ったのを捉えた映像はそれはそれは美しいものでした。
1997/01/28