2016/03/06

出世太閤記


  • 1938年日活京都撮影所
  • 監督:稲垣浩
  • 撮影:宮川一夫
  • 主演:嵐寛寿/河部五郎/月形龍之介


 東京国立フィルムセンター「日本映画の発見2:トーキーの開始と戦前の黄金時 代」特集です。日活京都撮影所の映画です。

 実は主演が嵐寛寿郎ということで観に行ったのですが、撮影の宮川一夫のカメラワークに魅せられてしまいました。

 宮川一夫の代表作としては「羅生門」黒澤明、「雨月物語」溝口健二、「東京オリンピック」市川崑などがあります。
 そうそう野口久光が日本で最初のオペレッタ映画だと評価した「鴛鴦歌合戦」マキノ正博もこの人の撮影です。
  • 川の透明な流れを捉えていたカメラがティルト・アップすると子供たちが遊んでいる情景になるショット。
  • 手前に夕陽を反射させた川。画面の奥で橋がシルエットになっている。その橋を独りで渡るまだ少年の木下藤吉郎を捉えたショット。
  • 画面一杯に捉えられた満開の桜のショット。
  • 今川義元の首をとるために阿修羅のように馬を走らせる織田信長のショット。
  • 城を築くために倒される木曾山中の大木を下から捉えたダイナミックなショット
  • 何度も挿入される空のショット。
躍動感のある映像を見せるかと思えば、静かなロマンチックな映像も見せてくれていいなあと思いました。
 どちらかといえばロマンチックな映像が印象に残りました。

 志村喬が出演しています。マキノ雅広が声のいい人だと語っていましたが、セリフが明確で感心します。「鴛鴦歌合戦」では歌も歌っていて、それを聴いたディック・ミネは志村喬に歌手になることを薦めたそうです。

1996/08/27