- 1996年香港映画 6/7銀座テアトル西友
- 監督:Vincent Kok/チャウ・シンチー
- 撮影:Lee Kin-keung
- 出演:チャウ・シンチー/カリーナ・ラウ/カーメン・リー
チャウ・シンチーは香港においては押しも押されぬ喜劇王なのに二年前までは日本での知名度はほとんどなかった。
いまや日本でもアンディ・ラウと肩を並べる?人となった。嬉しい。
この映画は「0061・北京より愛をこめて?!」の続編だ。もちろん「007」シリーズのパロディーだ。
前作が現代劇だったのに、今回は時代劇になっている。
主人公も独身から妻帯者になっている。
今回はホームドラマ・アクション・スパイコメディとでも言ったらいいかもしれない。
でも二人ともスパイの落ちこぼれでスパイを一旦は首になるのは同じだ。
前作ではIQが低く容姿が悪いという理由で首になったが、今回は発明に夢中になりカンフーの修業を怠ったという理由で首になる。
皇帝直属のスパイたちが一人一人順番に身体をダイナミックに空中に踊らせてから着地し、凄まじい技を皇帝の前で披露した後で最後に008の番になる。
008は運動の苦手な小学生のような前方回転というよりもでんぐり返しをしてみせる。
ここはどうしても笑ってしまう。次々に見せられた見事な身体の動きとの落差の大きさが笑いを誘うのだ。
呆れた皇帝に008は珍しいものを見つけましたと、磁石を献上しようとする。皇帝はますます呆れるがこれはちゃんと後の伏線となっている。
口銃(どんなものかは想像してください)、剣扇風機と次々に披露しては失敗する。
どれも後で大活躍するのだが、ともかく皇帝は激怒し008はスパイを首になる。
皇帝直属のスパイたちが敵国の強敵に次々と葬られるシーンでのカットの使い方が最高だ。
チャウ・シンチーは緊迫した場面と008と妻が市場を連れだって歩くほのぼのとした場面を並行して進める。
二つの場面は例えば剣がスパイの頭を襲い頭に達した瞬間、市場で包丁によって割られるスイカのクロースのカットに繋ぐことによって結び合わされる。
変な言葉だがスリリングなおかしみがある。
映画を前半と後半に分けると、後半はがぜんホームドラマとなる(かのように見える)。008の浮気がテーマになるのだ。
後半ではカリーナ・ラウ演じる008の妻とカーメン・リー演じる娼婦の対決が見せ場の一つになっている。
娼婦が「きれいね」と挑戦的に言葉を浴びせると、妻は「あなたよりもね」と鋭く切り返す。
二人の飛び散らす火花が見えるようでチャウ・シンチー、上手い!
最優秀女優賞を受賞する時の(なぜ受賞するのかは秘密です)カリーナ・ラウはコメディエンヌとしての面目躍如で本当に素敵だ。改めてファンになった。
ともかく観て下さい。
観ればあなたもチャウ・シンチー・ファンです。
1997/06/07